JTB-CWT サステナブルデー
~世界農業遺産からサステナビリティを学ぶ~
2024.12.06
2024年9月30日(月)に、山梨県峡東地域にて社内のブランド推進委員を対象に、サステナビリティ体験イベント「JTB-CWT サステナブルデー 」を開催いたしました。
山梨県の3市(山梨市、笛吹市、甲州市)からなる峡東地域は、起伏と傾斜が大きい扇状地の立地や自然条件を活用し、ブドウやモモ、カキなどの落葉果樹の適地適作を継承されております。
この扇状地に適応した果樹農業システムは、ブドウ棚の原型が考案された400年以上も前から継承されており、2022年に世界農業遺産に認定されました。
当日は全国各支店の代表者が山梨県に集合し、JTB-CWTのサステナビリティ方針やマテリアリティに基づき、 世界農業遺産である山梨県峡東地域にて、持続可能な農業システムと自然環境を直接体験し、理解を深めました。
自然環境や地域社会への貢献を意識した活動を社内外へ情報発信することで、社のサステナブル機運の醸成を目指します。
甲州ブドウ 収穫体験
山梨県到着後、最初に向かったのはニュー山梨ワイン醸造株式会社様です。管理されている農園にて、ワイン醸造用として栽培されている「甲州」の収穫をお手伝いしました。
収穫は全て手作業で、ひとつずつブドウを確認しながら、傷んでいる箇所の取り除きをされており、とても大変な作業だと実感しました。温暖化の影響で年々過酷になる農作業への心配と、生産者の皆さまへのありがたみも感じることができました。
その後、ワイン工場も見学させていただき、緻密な温度管理がされている場所で、ブドウを搾るところからボトルへのラベル貼りまでの全工程が行われていることを知りました。
果物に合わせた最適な加工や販売が出来る醸造会社があることも、山梨ブランドが継続している要因の一つだと考える機会になりました。
農園でも工場でも働き手の方が生き生きとされており、誇りのようなものを感じました!
ニュー山梨ワイン醸造株式会社
1963年の設立より、60年以上もの間100%山梨県笛吹市御坂町のブドウを使ったワインを醸造されています。
JAふえふきの直営ワイナリーです。
大手メーカーとのコラボ商品開発や羽田空港限定での特別ワイン販売など、地域での活動に留まらず全国へ向けた活動を行っています。
世界農業遺産 講演会
後半は、山梨県峡東農務事務所様のご紹介で、峡東地域世界農業遺産推進協議会 アドバイザーの中村様から、世界農業遺産と山梨県峡東地域の持続可能な農業システムについて講演いただきました。
■世界農業遺産(GIAHS)とは?■
社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化や農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)。国際連合食糧農業機関(FAO)により認定される。
持続可能な開発目標(SDGs)との関連
世界農業遺産に認定された農業システムが、持続可能な開発目標(SDGs)に合致し世界的・現代的に重要な課題に貢献しています。また、豊富な収穫量があり収入が安定していることから、峡東地域では他の農家で課題に上がる後継者問題が比較的少ないそうです。
世界農業遺産の認知度はあまり高くないとのことでしたが、山梨ブランドの果物栽培を継続・成長させるためには有効な称号であると感じられました。
地域創生とサステナブルを両立させるという難しい問題を、中村様はとてもフレンドリーな話し方でご説明いただき、前向きに強い思いを持って活動されていることが分かる講演でした。
中村 正樹 様
山梨県甲州市 生まれ
甲州市役所 農林振興課にて、世界農業遺産認定に携わられました。
現在は、日本フットパス協会企画委員としても活動されています。
峡東地域世界農業遺産推進協議会
世界に認められ、時代とともに変化し続けている峡東地域の果樹農業システムを次世代に継承していくために、保全と活用に取り組んでいます。
参加者からのコメント
💭サステナビリティな活動を行うためにはヒト・街・環境が上手く共存し循環する働きを行うことが大切だと学んだ。私たちのような外部の人間でも、農作業手伝いを行ったり地元の物を購入するだけでもサイクルの一部になることができるのでサステナブルな活動は難しいようで意外と身近なものであるような気がした。
💭これまでのサステナビリティに対する考え方では、環境保護や多様性などに目を向けがちだったが、経済面の発展も大きなポイントであると感じた。経済面の発展=社員の満足に大きな影響を与える。ただし、環境面・多様な働き方・経済面の3つをバランス良く発展させる必要がある。
💭自身が住んでいる地域以外のエリアにも興味を持って「調べてみる」
「実際に行ってみる」ことがサステナブルな活動への一歩だと実感した。
💭今まではエコやリサイクルといったイメージでしたが、機械だけでは成り立たない、人の手、その土地の自然によって伝統が継承されていくこともサスティナビリティだと感じました。
それを周囲や社内で共有していくことが大切だと思います。
💭1つ1つブドウを収穫することで、我々が普段口にしているものすべて同じように収穫されており、フードロスは環境のためではなく、農家の方々への誠意としても無くさなければならないと感じました。
💭適地適作で小さな農家でも収益があげられるシステムを地域全体として構築ができているからこそ、作物や生物の多様性が保持できていると感じました。
本イベントにご協力いただいた
ニュー山梨ワイン醸造株式会社、峡東地域世界農業遺産推進協議会、山梨県峡東農務事務所の皆様、誠にありがとうございました!
JTB-CWTはこれからも社会や地域のためにできることを社員一同で考え、取り組んでまいります。
協力団体
ニュー山梨ワイン醸造株式会社、峡東地域世界農業遺産推進協議会、山梨県峡東農務事務所